酒が飲める 酒が飲める 酒が飲めるぞ

ランボーはなぜ詩を棄てたのか (インターナショナル新書) 作者:奥本 大三郎 集英社インターナショナル Amazon アルチュール・ランボー(1854~1891)は、19世紀半ば、フランス北東部アルデンヌ地方の田舎町シャルルヴィルに生まれた。父親は軍人、母親の家系…

イエスタデイ・ワンスモア

犬の帝国: 幕末ニッポンから現代まで 作者:アーロン・スキャブランド 岩波書店 Amazon 本書が探るのは、近代日本の歴史における主要な出来事や人々の意識を変えてきたイデオロギーの形成をうながす媒体として、またそのような事件や思想の隠喩として、犬が果…

みにくいアヒルの子

世はすべて美しい織物 作者:成田 名璃子 新潮社 Amazon 明治の末に生を享けた芳乃にとってのそれは「綿毛」だった。 「三歳になっても綿毛のようにしか毛が生えてこず、不安を覚えた両親が町医者に連れて行くと、先天性の疾患で手立てはなく、今後も薄いまま…

黄色のセーター

LAフード・ダイアリー 作者:三浦哲哉 講談社 Amazon 本書はLA(ロサンゼルス)の食を、2019年4月から2020年3月までの1年間、体験して考えた記録である。…… 移民国家アメリカのいわゆる「多様性」を、ニューヨークなどとは別のしかたで、最も遠くへと推し進…

恋する女たち

リヒトホーフェン―撃墜王とその一族 (中公新書 2681) 作者:森 貴史 中央公論新社 Amazon 本書の主人公は、そうした貴族として然るべく生きて、第一次世界大戦を空軍パイロットとして戦ったリヒトホーフェンという名の貴族の兄弟。そして貴族に生まれたが、当…

バクオン。

森のうた : 山本直純との藝大青春記 (河出文庫) 作者:岩城宏之 河出書房新社 Amazon 平成十四年六月十八日、ナオズミ[山本直純]は突然、帰らぬ人となってしまった。 われわれ二人は大学では作曲科と打楽器科だったが、なんとか指揮者になりたかった。学生…

ノー・タイム・トゥ・ダイ

あの本は読まれているか (創元推理文庫) 作者:ラーラ・プレスコット 東京創元社 Amazon 彼らには人工衛星があったが、わたしたちには彼らの本があった。当時、わたしたちは本が武器になりうると――文学が歴史を変えられると――信じていた。CIAは人々の気持ちや…

かわいそうなぞう

象の皮膚 作者:佐藤 厚志 新潮社 Amazon カビですって、と凜の母が驚いてつぶやいた。 「これはアトピーの湿疹じゃない」とタグオ医師は続けた。「カビだ。正確にはカビの一種で白癬菌によるものです。わかりやすく言うと水虫とか田虫ですな。つまり人にうつ…

世界にひとつのプレイブック

pray human (講談社文庫) 作者:崔 実 講談社 Amazon 内臓から凍てつくような体温38度の悪寒に震えながら、案外これしきのことで死ぬのかもなんて思いながら、年の終わりにノヴェル・オブ・ザ・イヤーを読み返してみる。 あらすじについては改めてなぞらない…

Nel cor piu

バラを美しく咲かせる とっておきの栽培テクニック (NHK趣味の園芸ガーデニング21) 作者:鈴木 満男 NHK出版 Amazon バラの季節になると、通りすがりに見事なバラを見かけることが少なくありません。なかには、すばらしい花なのに特に手入れをされているよう…

どこにでもあるどこかになる前に。

土とワイン 作者:アリス・ファイアリング,パスカリーヌ・ルペルティエ エクスナレッジ Amazon ブラインド・テイスティングを行うと、訓練を積んだ人のなかには、ある種の土壌のワインならではの特徴を実際に言い当てられる人がいる。最も簡単な例は重粘土質…

集まる場所が必要だ

ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く 作者:室橋 裕和 辰巳出版 Amazon 「コリアンタウンと聞いていたんだけど……」 新大久保を歩くほどに、そんな思いが湧いてくる。 確かに韓国の店は多い。レストラン、化粧品やアイドルグッズ、雑貨……どこも日本人の女の子た…

塀の外の懲りない面々

刑務所の精神科医――治療と刑罰のあいだで考えたこと 作者:野村俊明 みすず書房 Amazon 本書のタイトルである『刑務所の精神科医』には二つの意味がある。 一つは、本書が、主として刑務所などの矯正施設に精神科医として勤めた経験に基づいてかかれているこ…

Romanticが止まらない

チョコレートで朝食を 作者:パメラ・ムーア 風鳴舎 Amazon 訳者曰く、 コートニーの母親は映画監督と浮名を流す女優で、父親はニューヨーク出版界では有名な編集者、本書「チョコレートで朝食を」(原題:Chocolates for Breakfast)は、16歳の美少女、コー…

「国王ハ死ス、国民ハ決シテ死セズ」

五日市憲法 (岩波新書) 作者:新井 勝紘 岩波書店 Amazon 東京の西部に位置する五日市という町に、「開かずの蔵」と呼ばれる朽ちかけた土蔵があった。1968年、当時まだ20代だった私は、その薄暗い土蔵の中でたまたま一つの文書を手にした。それが、この地域の…

パイルダーオン

聖なるズー (集英社文庫) 作者:濱野ちひろ 集英社 Amazon 動物とセックスをする。愛があるから。動物性愛者の性には、愛とセックスのわかりにくさと、ねじれがあるように思えた。 動物性愛者は、どんなふうに自分のセックスと向き合っているのだろう。真剣で…

The End of the World

踊る菩薩 ストリッパー・一条さゆりとその時代 作者:小倉 孝保 講談社 Amazon 21世紀も20年が過ぎた今なぜ、一条さゆりなのか。 私は、今だからこそ彼女を捉え直せると考えている。人物や出来事の本質は歴史を俯瞰してみて、初めて実像を結ぶ。 ストリップ界…

死が二人を分かつまで

元彼の遺言状 作者:新川帆立 宝島社 Amazon 「私」こと剣持麗子は大手ロー・ファーム勤務の28歳、冒頭、彼氏からプロポーズの婚約指輪を渡されるも、そのみすぼらしさに不貞腐れて言い放つ。 「何が何でも、欲しいものは欲しい。それが人間ってもんでしょ。…

文にあたる

カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話 作者:メアリ ノリス 柏書房 Amazon そして20年以上の月日が、わたしがOK 係になってから過ぎた――『ニューヨーカー』だけに存在する役職で、記事のゲラを読んで疑問点を書き込み、編集者、執筆者、事実…

オール怪獣大進撃

よみがえれ!老朽家屋 (ちくま文庫) 作者:慶子, 井形 筑摩書房 Amazon 問題はこのような人気の街[吉祥寺]で店を始めようとする場合、高い保証金を払って店舗を借りなければならないということだ。 よって若者は商店街や住宅地で取り壊し寸前の家屋や老朽ビ…

おいしいごはんが食べられますように

味の台湾 作者:焦桐 みすず書房 Amazon 台湾に住む人々の大部分は、福建各地からの移民にルーツを持つ。さっぱりとして甘い福州料理と、油が重く塩気の強い福建西部(閩西)の客家料理とが、しぜんと台湾の味わいの基調を構成するのにかかわっており、これら…

Esse quam videri

スーパー・コンプリケーション 伝説の時計が生まれるまで (ヒストリカル・スタディーズ) 作者:ステイシー・パーマン 太田出版 Amazon 〈ザ・グレーヴス〉はたんに“金ぴか時代”の黄金の玩具というだけではない。そもそも時計の歴史において、複数の複雑機構を…

夏色

チャイムが鳴った 作者:日和聡子 新潮社 Amazon 今夜にでも、何かが起きるのではないか。そんな気がしてしまう。いや、そんな気なんか全然しない。 そんなはずはない。 何も起こらない。 何も起こるはずはない。 いつも通りだ。 何事もない。 「虹のかかる行…

死にたくなったら電話して

ミーツ・ザ・ワールド (集英社文芸単行本) 作者:金原ひとみ 集英社 Amazon 「私」こと三ツ橋由嘉里は27歳の銀行一般職、恋愛経験ゼロだが一応婚活らしきことをしていないこともない、「それぞれの焼肉の部位がイケメンに擬人化してミノくんとかトモサンとか…

The Concept

どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜 作者:藤井 聡子 里山社 Amazon 私は2008年に帰郷し、富山市内の実家の薬局で働きながらライター活動を始めた。遠きにありて思うものだった故郷が、暮らしの基盤になってからもうずいぶん経つ。東京で何…

勝手にシンドバッド

砂と人類:いかにして砂が文明を変容させたか 作者:ヴィンスバイザー 草思社 Amazon 本書の主役は、誰からもほとんど顧みられないのに、誰もそれなしでは生きられないものである。それは世界で最も重要な個体であり、現代文明の、文字どおり土台をなす物質な…

華氏119

不自然な死因~イギリス法医学者が見てきた死と人生 作者:リチャード・シェパード 大和書房 Amazon 「私は60代の法病理学者(法医学者)だ。これまでに行った検死と解剖の数は、2万件を超える」。 しかし、本書ではもはやこのステートメントすらも過去形をも…

辞書はかがみ。

辞書を編む (光文社新書) 作者:飯間 浩明 光文社 Amazon 皆さん、こんにちは。飯間浩明と申します。私は、『三省堂国語辞典』という辞書の編纂にたずさわっています。 ――大学で受け持っている授業や、セミナーなどで、私は最初にこのように自己紹介をします…

春夏秋冬

裸の巨人 宇宙企画とデラべっぴんを創った男 山崎紀雄 作者:阿久真子 双葉社 Amazon 山崎紀雄はAVの宇宙企画とアダルト雑誌の英知出版で成功した。いわばエロによって莫大な資産を築き、豪邸を建て、小切手をゴミのように床に散らかし、ホテルのスイートに10…

午後の死

日はまた昇る (新潮文庫) 作者:ヘミングウェイ 新潮社 Amazon 「ねえ、ジェイク」彼はカウンターの上に身を乗りだした。「きみは、人生がどんどん過ぎ去ろうとしているのに、その人生をすこしもうまく使っていないと感じることはないかね? もう人生の半分ち…