2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ダ・ヴィンチ・コード

最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望 作者:ベン・ルイス,上杉 隼人 集英社インターナショナル Amazon 『サルバドール・ムンディ』がわれわれに伝えるのは、美術界はすべてよしというわけではないということだ。世界一有名な画家の、も…

「死の恐怖」

感染症文学論序説: 文豪たちはいかに書いたか 作者:石井正己 河出書房新社 Amazon 集めた感染症文学を読むと、感染拡大の時期を当事者として生きた感覚や思考が実に細やかに書かれていることに驚いた。今はビッグデータがAI(人工知能)によって解析され、金…

野中広務研究―その金脈と人脈

野中広務 差別と権力 (講談社文庫) 作者:魚住 昭 講談社 Amazon 野中ほどナゾと矛盾に満ちた政治家はいない。彼には親譲りの資産も学歴もない。そのうえ57歳という、会社員なら定年間近の年で代議士になりながら、驚くべきスピードで政界の頂点に駆け上って…

愛の讃歌

雪ぐ人: 「冤罪弁護士」今村核の挑戦 (新潮文庫 さ 94-1) 作者:佐々木 健一 新潮社 Amazon 私たちは「冤罪弁護」の現実を知らない。 多くの人は、冤罪事件を担当するような“人権派弁護士”は、貧しくとも崇高な理念の下、自ら進んでその道を歩んでいるものと…

ソウルフード

給食の歴史 (岩波新書) 作者:藤原 辰史 岩波書店 Amazon 日本の給食史を漫然と眺めているだけでは、中途半端な概説史に堕してしまう。それを避けるためにも、とくに下記の5つの視角から給食史をとらえたい。 第一に、子供の貧困対策という視角。/……給食はそ…

どこまでも行こう

テレビ越しの東京史 ―戦後首都の遠視法― 作者:松山秀明 青土社 Amazon 戦後東京は、テレビを抜きに語ることはできない。首都の発展は、テレビというメディアの歴史と共鳴していたと言っても過言ではない。戦後東京は、テレビという新しい視聴覚メディアの登…

時代おくれ

トキワ荘の時代 (ちくま文庫) 作者:純, 梶井 筑摩書房 Amazon 寺田ヒロオの代表的な作品といえば、「背番号0」「スポーツマン佐助」「もうれつ先生」「スポーツマン金太郎」「暗闇五段」などがあげられるが、これらはいずれも1956年~64年にかけての8年間に…

And when you get the chance

ヤクザときどきピアノ 作者:鈴木 智彦 CCCメディアハウス Amazon 仕事が終わったばかりでやることもない。(中略)何の気なしに映画を観にいった。(中略) そのうちの一本が『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』だった。第一作同様、全編ABBAのヒット…

飢餓海峡

優しい暴力の時代 作者:チョン・イヒョン 河出書房新社 Amazon 「十二階の入居者の便器の詰まりを直し、二十九階の入居者の代行で銀行に行き、八階の入居者と三十二階の入居者の駐車場に関するもめごとを仲裁して、あわただしく一日が過ぎた」(「ミス・チョ…

借金大王

サラ金の歴史-消費者金融と日本社会 (中公新書 2634) 作者:小島 庸平 中央公論新社 Amazon かつて、サラ金各社は、毎年のように法人所得ランキングの上位に食い込み、創業者一族が高額納税者番付に数多く名を連ねていた。その一方で、利用者はしばしば深刻な…