2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

JR上野駅公園口

夢見る帝国図書館 作者:京子, 中島 文藝春秋 Amazon 喜和子さんと知り合ったのは、かれこれ十五年ほど前のことだ。 わたしが小説家になる以前のことで、出会った場所は上野公園のベンチだった。…… 人に会って、 「どんなお仕事を?」 と聞かれれば、できれば…

civilization

ナウシカ考 風の谷の黙示録 作者:赤坂 憲雄 岩波書店 Amazon なぜ、いま『風の谷のナウシカ』なのか。『風の谷のナウシカ』について、その創り手である宮崎駿について、なにを、どのように語ろうというのか。しかも、数ある宮崎アニメではなく、『風の谷のナ…

プロミシング・ヤング・ウーマン

遠の眠りの 作者:谷崎 由依 集英社 Amazon 長き夜の 遠の眠りの みな目覚め 波乗り舟の 音のよきかな 和歌のリズムを持ちながら、回文構造をなす。主人公の絵子を取り巻く、変わりようもない円環構造を示唆する。 大正末期の福井の片田舎、尋常小学校を出た…

ザ・グレート・ギャツビー

競艇と暴力団 「八百長レーサー」の告白 作者:西川 昌希 宝島社 Amazon 子どものころは、大きくなったら自分はヤクザになるものと思っていた。 幼い時分に実の両親が離婚し、俺は母方の親類だった「弘道会」幹部に預けられ、「ヤクザの子」として育った。小…

「失ったものを数えず、残っているものを数えよ」

アナザー1964 パラリンピック序章 作者:稲泉連 小学館 Amazon 私がこれから描こうと思うのは、この「1964年のパラリンピック」の物語である。そのことについて調べてみようと思ったのは、自分が「パラリンピック」の歴史について何も知らない、というこ…

ラ・ラ・ランド

ロッキード (文春e-book) 作者:真山 仁 文藝春秋 Amazon 近年になって、政治家としての角栄が再評価される。 「決断と実行」を推し進めた突破力、さらには、地方再生やエネルギー問題に対する危機感など、今の政治家にはない魅力が現代人を惹きつけた。 しか…

怪獣無法地帯

ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗 (講談社現代新書) 作者:円谷英明 講談社 Amazon 我々円谷一族の末裔は、祖父[円谷英二]が作った円谷プロの経営を全うすることができませんでした。現存する円谷プロとは、役員はおろか、資本(株式)も含め、いっ…

それが大事

アメリカン・ベースボール革命: データ・テクノロジーが野球の常識を変える 作者:ベン・リンドバーグ,トラビス・ソーチック 化学同人 Amazon その男はどこにでもいる便利屋のひとりに過ぎなかった。その前年のトリプルAでは、計304打数でホームランはわずか3…

フォントにあった怖い話

私の好きなタイプ 話したくなるフォントの話 作者:サイモン・ガーフィールド ビー・エヌ・エヌ新社 Amazon 世界には10万種類を超える書体がある。たとえばTimes New Roman、Helvetica、Calibli、Gill Sans、Frutiger、Palatinoといった、よく知られたもの6種…

パブリック・エネミーズ

真面目にマリファナの話をしよう 作者:裕美子, 佐久間 文藝春秋 Amazon 一時は政府がやっきになって撲滅しようとしていたマリファナという物質が、今、もっともセクシーなコモディティとして注目される時代が来るまでの長い間、アメリカでは水面下で、そして…

100%のじぶんに

深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと 作者:スズキナオ スタンド・ブックス Amazon 本書に収めた文章は、大阪と東京を片道2000円台という低価格で結ぶ深夜バスに乗って行ったり来たりしながら、たまにそれ以外の土地にも出かけ、いくつかのWEB媒体に…