2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

トリコロール

冗談音楽の怪人・三木鶏郎 :ラジオとCMソングの戦後史 (新潮選書) 作者:麻人, 泉 新潮社 Amazon 三木鶏郎と聞いて、それなりのイメージが思い浮かぶのは、もはや60代に入った僕くらいの世代がぎりぎりかもしれない。しかし、この人物は戦後の娯楽メディアを…

妖怪ウォッチ

地方選 無風王国の「変人」を追う 作者:常井 健一 KADOKAWA Amazon 誰にも注目されないどころか、行われたことすら知られていないマイナーな地方選の現場を1人で自由に見て歩き、住民からの聞き取りや資料の発掘を通して日本政治の奥の奥、そこに映る「にん…

Santa Claus Is Coming To Town

資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界 作者:佐々木実 発売日: 2019/03/29 メディア: Kindle版 前に私は、宇沢が「経済学の『奥の院』にいた唯一の日本人だった」とのべた。その意味は、経済学者として顕著な実績を挙げたというだけでなく、1950年代後…

もう恋なんてしない

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび 作者:ストラウト,エリザベス 発売日: 2020/12/17 メディア: ハードカバー オリーヴは「年を取るとね」と言い出した。「人からは見えない存在になる。そういうものなのよ。ただ、それだけに解放感があるとも言える」。 前作『…

人のセックスを笑うな

村に火をつけ,白痴になれ 伊藤野枝伝 (岩波現代文庫) 作者:栗原 康 発売日: 2020/01/18 メディア: 文庫 女性の地位向上をもとめる人たちだって、そういう約束をおもんじている。よりよい社会を想定し、それにちかづくこと。いま男とかわしている約束は不平…

狂人と狂人

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (文春文庫) 作者:佐々木健一 発売日: 2016/08/19 メディア: Kindle版 これは、日本を代表する二冊の辞書の誕生と進化を巡る、二人の男の情熱と相克の物語である。 一人は『新明解国語辞典』の生みの親、山田忠雄。 そ…

誰がために医師はいる

鼓動が止まるとき 作者:スティーヴン・ウェスタビー 発売日: 2018/12/04 メディア: 単行本 ウッディ・アレンは「脳は二番目に好きな臓器だ」と言った。私は心臓に同じ愛着を感じている。まず、見ていて楽しい。そして、私は、それを眺め、停止させ、治して、…

Red Is the Old Black

赤毛の文化史:マグダラのマリア、赤毛のアンからカンバーバッチまで 作者:ジャッキー・コリス・ハーヴィー 発売日: 2021/03/03 メディア: 単行本 赤毛は昔から“異分子”と見られてきたが、興味深くも不可思議なことに、それは白い肌をした異分子なのである。……

「壮大なお芝居」

幣原喜重郎-国際協調の外政家から占領期の首相へ (中公新書 2638) 作者:熊本 史雄 発売日: 2021/04/19 メディア: 新書 幣原喜重郎は、評価の相半ばする外交官・政治家ではなかろうか。「協調外交」の推進者だったのか、「弱腰外交」を展開したに過ぎなかった…

「柔弱は生路なり、強硬は死路なり」

日本国憲法をつくった男 宰相 幣原喜重郎 (朝日文庫) 作者:塩田 潮 発売日: 2017/02/28 メディア: Kindle版 新憲法制定の経緯については、当初から大きな謎がある。最大の疑問は第9条の戦争放棄条項が設けられた事情だろう。 ダグラス・マッカーサー最高司令…