2020-01-01から1年間の記事一覧
袴田事件を裁いた男 (朝日文庫) 作者:尾形誠規 発売日: 2014/09/25 メディア: Kindle版 2014年3月27日、午後5時20分すぎ。東京都葛飾区小菅。マスコミの衆目が集まるなか、東京拘置所の面会人出入り口から一人の老人男性がゆっくりとした歩調で姿を現した。…
本物の読書家 作者:乗代 雄介 発売日: 2017/11/24 メディア: 単行本 縁遠い親戚を老人ホームに送り届けるのは珍しいことでもなんでもないが、歓迎すべきことでもない。大叔父上のことだ。…… 「高萩までは、彼に送り届けてもらいたい」 このご指名に心当たり…
アルコホーリクス・アノニマスの歴史――酒を手ばなした人びとをむすぶ 作者:アーネスト・カーツ 発売日: 2020/09/28 メディア: 単行本 本書では、「神ならざる者たち(Not-God)」[原題]という言葉が、アルコホーリクス・アノニマス(以下AA)の歴史を詳述し…
東京プリズン (河出文庫) 作者:赤坂 真理 発売日: 2014/07/08 メディア: 文庫 十六歳になったその日、ハイスクール十年生であるはずの私に、校長先生から、ある提案があった。 アメリカに来てから、教育的配慮とやらで九年生へと一級落とされていた私が、元…
古代日中関係史-倭の五王から遣唐使以降まで (中公新書 2533) 作者:河上 麻由子 発売日: 2019/03/16 メディア: 新書 江戸時代以前の日本にとって、中国は大国であり、憧れの対象であり続けた。古代から近世まで、中国の文物が貴顕……に熱狂的に受け入れられた…
きみの鳥はうたえる (河出文庫) 作者:佐藤 泰志 発売日: 2011/05/07 メディア: 文庫 「まだ二十一じゃなくて、もう二十一さ」 書店でバイトする「僕」は静雄とふたりアパートで暮らす。理由その一、「静雄がたとえ、ひとことも口をきかなくても、僕はあいつ…
波 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ソナーリ・デラニヤガラ 発売日: 2019/01/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) はじめは何とも思わなかった。海がいつもより少しホテルに近いように見えた。それだけだった。…… 彼女が波を見たのはそのときだった。「たい…
オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析 作者:直子, 高橋 発売日: 2019/01/29 メディア: 単行本 オカルト番組は、ときに批判・非難(バッシング)されながらも、支持(視聴率)を獲得し、概して社会的に許容(放送)され…
自画像のゆくえ (光文社新書) 作者:森村 泰昌 発売日: 2019/10/16 メディア: 新書 本書では、これから「自画像」について、私なりの考察をしてみたいと思っているのだが、……2000年代にはいって激変をくりかえす「わたしがたり」の様相をまのあたりにすると、…
変わったタイプ (新潮クレスト・ブックス) 作者:ハンクス,トム 発売日: 2018/08/24 メディア: 単行本 この短編集の原題は、Uncommon Type。 uncommon、もしくはun-commonであることについて。 例えばオープニング、「へとへとの三週間」の場合。「僕」とアン…
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫) 作者:道尾秀介 発売日: 2012/07/01 メディア: Kindle版 「一瞬のことだった。S君が、風に乗って、窓の外を横切っていた。左から右に。ここは校舎の二階なのに。灰色のTシャツに、濃い茶色の半ズボンをはいたS君の身体が、紙切…
女の子は本当にピンクが好きなのか (河出文庫) 作者:堀越英美 発売日: 2019/10/05 メディア: 文庫 玩具店の女児コーナーに足を踏み入れれば、ピンク、そして水色、ラベンダーというパステルカラーの大洪水だ。美容、おままごと、手芸、クッキング……と従来の…
ストリートファイト: 人間の街路を取り戻したニューヨーク市交通局長の闘い 作者:ジャネット・サディク=カーン,セス・ソロモノウ 発売日: 2020/09/10 メディア: 単行本(ソフトカバー) マイケル・ブルームバーグ市長のもと夢中で駆け抜けた6年間。この間に…
リクルートスーツの社会史 作者:田中里尚 発売日: 2019/09/26 メディア: 単行本 リクルートスーツは無個性、従順の象徴とされ、否定され、ときに笑われ、嫌がられる。就職活動生だけがぼやくのではない。こうした批判は採用する側からも漏れ出てくる。ならば…
格差は心を壊す 比較という呪縛 作者:リチャード ウィルキンソン,ケイト ピケット 発売日: 2020/04/03 メディア: Kindle版 ワニワニパニックの唯一の正当な攻略法は、次から次へと繰り出されるワニをひたすら叩き続けることではなく、その基板もろとも破砕す…
西への出口 (新潮クレスト・ブックス) 作者:ハミッド,モーシン 発売日: 2019/12/24 メディア: 単行本 物語の舞台は、アラビア半島を思わせるどこか、とはいってもその特定作業がさしたる意味を持つことはおそらくない。なぜならば主人公カップルには携帯電話…
芝園団地に住んでいます : 住民の半分が外国人になったとき何が起きるか 作者:大島 隆 発売日: 2019/10/04 メディア: 単行本(ソフトカバー) 埼玉県川口市は芝園団地、かつて大友克洋『童夢』のモデルとなったことでも知られる。新築当初は抽選を要するほど…
1995年 (ちくま新書) 作者:速水健朗 発売日: 2015/05/22 メディア: Kindle版 1995年。この年が、阪神・淡路大震災が起きた年であり、オウム真理教による地下鉄サリン事件の年であるということは誰もが知っている。1995年は、主にこの日本戦後史における…
ミケランジェロ・ブオナローティの生涯 (Artist by Artist) 作者:ヴァザーリ,ジョルジョ 発売日: 2020/07/06 メディア: 単行本 勤勉で、おおいなる才能を持つ芸術家たちがいた。彼らはジョットとその後継者たちのまばゆい光を浴びながら、幸運の星、そして均…
お茶の科学 「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ (ブルーバックス) 作者:大森 正司 発売日: 2017/05/17 メディア: 新書 「お茶」とは、日本人にとって、とてもなじみ深い飲み物です。緑茶だけでなく、ほうじ茶や紅茶、ウーロン茶など、日に一度は口にす…
転がる香港に苔は生えない (文春文庫) 作者:星野博美 発売日: 2015/07/17 メディア: Kindle版 交換留学生としてかつて暮らしたその街に改めて舞い降りる。「返還まであと1年。そろそろ香港に戻る頃だろうと思った。……資本主義路線を歩みながら、国家としては…
ウイルス・ハンター アメリカCDCの挑戦と死闘 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者:エド・レジス 発売日: 2020/07/22 メディア: 文庫 CDC(疾病予防センター)のそもそものはじまりは1942年、「米国南部の地域でのマラリア防御を唯一の目的」として発足し…
保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで (中公新書) 作者:宇野重規 発売日: 2019/11/08 メディア: Kindle版 保守主義とは、それ自体として一個の一貫した理論的体系であるというよりは、フランス革命や社会主義革命、あるいは福祉国家による大きな…
言論の不自由: 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか 作者:ジョシュア・ウォン,ジェイソン・Y・ゴー 発売日: 2020/08/12 メディア: 単行本 2017年8月、香港の街に焼けつくような日差しが降り注ぎ、大学生たちが夏のアルバイトを切り上…
大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (光文社新書) 作者:仲村和代,藤田さつき 発売日: 2019/04/16 メディア: 新書 第1部は、アパレル業界の話。流行のデザインを安い価格で提供するファストファッションが定着し、安くおしゃれを楽しめるようにな…
イスラム飲酒紀行 (SPA!BOOKS) 作者:高野 秀行 発売日: 2012/09/01 メディア: Kindle版 私は酒飲みである。休肝日はまだない。 本格的に酒を飲み出したのは意外に遅く、三十歳を過ぎてから。ゴールデントライアングルの核心部で取材中、うっかりア…
民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 (中公新書) 作者:藤野 裕子 発売日: 2020/08/20 メディア: 新書 凝固点の0度を下回っているはずなのに液体の状態を保ったままのペットボトル内の水が、わずかな衝撃を与えるだけで瞬く間に氷へと変わる、そんな映像を目…
ハウスワイフ2.0 作者:エミリー・マッチャー 発売日: 2014/02/21 メディア: Kindle版 “わが家がいちばん。女の城は台所”――いま、まさにそんな現象が起きている。といっても、そういうことを誰もが言いだしたのは、これがはじめてではない。1950年代には“幸せ…
沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち 作者:藤井 誠二 発売日: 2018/09/06 メディア: 単行本(ソフトカバー) 初めての沖縄は清新な感動に溢れていた。しかし今から考えるとそれは、私の中に根づいていた「平和と反戦の島、沖縄」というイメージを自…
新橋アンダーグラウンド 作者:本橋 信宏 発売日: 2018/06/15 メディア: Kindle版 西銀座から新橋に伸びる人外魔境のようなガード下の半地下通路はどのようにしてできたのか。 駅前のSL広場でサラリーマンがインタビューに応じる光景はいつからあるのか。 ニ…