2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

チェンジリング

かか (河出文庫) 作者:宇佐見りん 河出書房新社 Amazon 中学生ぐらいから、うーちゃんがネットで愚痴をつぶやく頻度はだんだん増えていきました。おまいもよおく把握していることでしょうが、かかがはっきょうし始めたかんです。…… はっきょうは「発狂」と書…

Driver's High

ドライブイン探訪 作者:橋本倫史 筑摩書房 Amazon ドライブインが花盛りとなったのは昭和、より具体的に言えば戦後の昭和だ。昭和57(1982)年生まれの僕は、昭和という時代に対してわずかな記憶しか残っていなくて、「平成」と書かれた紙が掲げられる瞬間を…

きんぎょ注意報!

金魚と日本人 (講談社学術文庫) 作者:鈴木 克美 講談社 Amazon 江戸の金魚にはもちろん、経済活動を左右するとか、文化向上に寄与したとかいえるような、社会的な存在価値があったわけではない。ただ、人の目を楽しませ、和ませるのに役立つだけの小さな存在…

時の流れに身をまかせ

私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実 作者:有田 芳生 文藝春秋 Amazon 「光栄です……」 わたしの眼を見つめたテレサは小さな声でつぶやいた。彼女の人生を中国や台湾の歴史とからめて書かせてほしいと伝えたときの返答だった。そして意外なことを口…

地方の王国

幼な子の聖戦 作者:木村 友祐 集英社 Amazon 「おれ」は青森県慈縁郷村の若手村会議員、そうはいっても何かしらの大志があって政治の道に入ったわけではない。東京でのフリーター生活の果て、辛うじて正社員の座にあり着いたものの、もとより日々には「絶望…

地獄八景亡者戯

いきどまり鉄道の旅 (河出文庫) 作者:北尾トロ 河出書房新社 Amazon 線路は続かないよ、どこまでも。 時刻表をつぶさに見れば、終着駅がどこともつながらない鉄道があちこちに発見できるはずだ。 諸般の事情によってそれ以上先へ延びることを許されず、レー…

もう戻れない

どうにもとまらない歌謡曲: 七〇年代のジェンダー (ちくま文庫 せ 14-1) 作者:舌津 智之 筑摩書房 Amazon 歌謡曲とは、おそらく、戦後の日本における最強の思想である。というのも、言語に関わるどんな文化を考えてみても、歌謡曲ほど広く深い浸透力をもつも…

オキナワ・サンマ・パーティー

サンマデモクラシー 復帰前の沖縄でオバーが起こしたビッグウェーブ 作者:山里 孫存 イースト・プレス Amazon 「サンマ裁判」とは、1965年、復帰前の沖縄で、琉球漁業株式会社が琉球政府を相手に起こした裁判のことだとわかった。当時の沖縄にとって輸入品だ…

統治行為論

原発に挑んだ裁判官 (朝日文庫) 作者:磯村健太郎,山口栄二 朝日新聞出版 Amazon 原発は危険なのか。それとも大地震が起きても大丈夫なのか。3・11後、原発が少しずつ再稼働していくなか、漠然とした不安を持っている人は多いと思います。いったい本当はどち…

さよならテレビ

沖縄と核 作者:松岡 哲平 新潮社 Amazon 沖縄には、かつてどのような核兵器が、どのくらい配備されており、兵士たちはどのような思いを抱えながら任務にあたっていたのだろうか……。 取材では、沖縄に核兵器が配備されることになった時代背景や国家の思惑を明…