2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

全集中の呼吸

野球の90%はメンタル 作者:ボブ・テュークスベリー,スコット・ミラー 春秋社 Amazon 私はパフォーマンスにおける3つの重要な柱について説明をする。 一つはフィジカル。言うまでもなくウェイトトレーニングや有酸素運動で鍛えるものだ。 もう一つは基礎。打…

ブリックスアンドモルタル

ポン・ジュノ映画術: 『ほえる犬は噛まない』から『パラサイト半地下の家族』まで 作者:イ・ドンジン 河出書房新社 Amazon 『パラサイト 半地下の家族』の驚異的な成果は、優れた内的な成就があってこそ可能だった。2020年のとてつもなく大きな成功は、2000…

東京は夜の七時

TOKYO REDUX 下山迷宮 (文春e-book) 作者:デイヴィッド・ピース 文藝春秋 Amazon 1949年の下山事件をイギリス人作家が取り上げる。といってまさか、アメリカの公文書館あたりから新たに超ド級の資料が掘り出されたわけではない。本書においても、あるものは…

捕らぬ狸の皮算用

カラー版 - ふしぎな県境 - 歩ける、またげる、愉しめる (中公新書) 作者:西村 まさゆき 中央公論新社 Amazon 県境は一見、空間と空間を分け隔てているだけのように見えるが、なぜそこに県境が引かれるようになったのかを考えると、たちまち時間を背負った存…

鏡よ、鏡、鏡さん

警察庁長官を撃った男 (新潮文庫) 作者:鹿島 圭介 新潮社 Amazon 奇妙にも、未解明の重大事件について、自身が容疑者として逮捕されることを望み、真相解明が果たされることを期待している男。彼の名は、中村泰(1930年生れ)。かつて警視庁の警察官を射殺し…

四大元素

ナチス絵画の謎――逆襲するアカデミズムと「大ドイツ美術展」 作者:前田 良三 みすず書房 Amazon 一枚の絵のことが前々から気になって仕方がない。 ナチスの文化政策やいわゆる「ナチスの芸術」のことを調べていると、かならずといってよいほど顔を出す。とう…

The Fame Monster

ハウス・オブ・グッチ 上 (ハヤカワ文庫NF) 作者:サラ・ゲイ・フォーデン,Sara Gay Forden 早川書房 Amazon 「彼の人生をじっくりと洗い直し、ていねいにたどっていかねばならなかったのです」。 それはかつてどこかで聞いたことのあるような、ファミリー企…

アナザーラウンド

酔っぱらいの歴史 作者:マーク・フォーサイズ 青土社 Amazon 酔っぱらうことはほぼ普遍的なことである。世界のほぼすべての文化には酒がある。例外的に酒にあまり熱心ではないふたつの文化――北米とオーストラリア――は。酒に熱心な人々が入植してできたものだ…

目黒のさんま

落語の種あかし (岩波現代文庫) 作者:重明, 中込 岩波書店 Amazon 伝統的に言って、落語が落語として出現することは少なかった。落語の多くがもろもろの先行文芸に材を求めている。つまり、落語ではない作品を、ないしは作品の一部を落語化したものが、現在…

風と共に去りぬ

オリンピア1996 冠〈廃墟の光〉(新潮文庫) 作者:沢木耕太郎 新潮社 Amazon 第26回のオリンピックはアメリカのアトランタで開かれる。それは近代オリンピックの第1回大会がアテネで開かれてちょうど100年目に当たる。それがなぜアトランタで開かれることに…

物語る私たち

7袋のポテトチップス 作者:湯澤規子 晶文社 Amazon とりたてて日頃から話すことはなくとも、きっかけさえあれば淀みなく語ることができる「食物語」が、これまでどれほど語られずに蓄積されてきたのだろう。それは膨大な数にのぼるのではないだろうか。いわ…